第 5.2 章 白素贞以慈悲化解蜈蚣精
金秀坊の外で、助けを求めに行った李公甫が徐仙と共に到着した。徐仙の治療の下、意識を失っていた警官たちが徐々に目を覚ました。徐仙は蜈蚣がどこから来たのか不思議に思い、蜈蚣の足によって壁に残された跡を見て、刺繍された絵の後ろに隠された秘密の部屋を見つけた。そこからは子供たちの泣き声が聞こえてきた。
徐仙と李公甫は目を合わせ、すぐに秘密の部屋に駆け込んだ。
白素贞は長生の魂を集めようと奮闘していたが、彼女の霊力は不足しており、魂の光が徐々に薄れていった。これを見た意識がほとんどない吴娘子は、五色の魔珠を吐き出した。
三千年の修行を経た魔珠は、砕けた魂を包み込み、ゆっくりと集まり、長生の姿に凝縮された。
吴娘子は驚いた表情を見せた。「私の子！」
長生は吴娘子を見つめ、甘い笑顔を浮かべた。
吴娘子は長生を奈河橋に押し出そうとしたが、手を伸ばすと、自分の手が透明になり、溶けていくのを感じた。
法海と戦っていた蜈蚣の魔物はこの光景を見て叫んだ。「臭い女！お前は狂ったのか？死んだ子供のことは気にするな、魔珠を早く飲み込め！」
蜈蚣の魔物は法海に敵わず、怒りに任せて彼に毒ガスを吹きかけた。小青は法海の前に飛び込み、立ちふさがった。
小青は怒って言った。「臭い蜈蚣、ふん、お前だけが毒を使えると思っているのか！見てろ！」彼女は手を振り、青いガスが蜈蚣に向かって襲いかかり、蜈蚣の赤い毒ガスと戦った。
小青は法海に向かって叫んだ。「僧侶、何をしている！攻撃しろ！」
小青に助けられた法海はぼんやりしていたが、彼女に促されてすぐに前に駆け出した。
不遠のところで、白素贞は長生の魂を抱えて奈河橋に向かって走った。景松は焦って尋ねた。「何をしているの？」
白素贞は後ろを振り返りながら答えた。「長生の魂は何百年も砕けていて、輪廻に入れない。幸いにも、吴娘子が三千年の修行を使って彼の魂を修復した。私は彼を奈河橋を渡らせる必要がある。」
景松の声が変わった。「この輪廻の道は吴娘子の修行によって開かれた。今、彼女は自分自身が危険にさらされている。お前がしていることは、自分を死に追いやることと何が違うのか？！」
「そんなことを考えている暇はない！」
蜈蚣の魔物は法海と小青に抑えられ、怒りに任せて言った。「私を解放しなければ、みんな一緒に死ぬぞ！」
蜈蚣の魔物の体は急速に膨れ上がった。法海は紫金の鉢を呼び寄せ、小青を引き寄せ、急いで彼から離れた。
紫金の鉢は二人を守り、蜈蚣の魔物の自爆を隔離した。
白素贞は長生の魂を奈河橋に乗せた。彼女が踏み出すと、奈河橋が割れ始めた。景松は厳しく叫んだ。「素贞！」
白素贞は歯を食いしばり、足元の崩れかけた橋を気にせず、長生を一歩一歩向こう側へ導いた。
景松は叫んだ。「素贞、早く戻ってこい！」
橋の真ん中に達すると、奈河橋が激しく揺れ始め、白素贞はほとんど立っていられなかった。
彼女は霊力を発動させ、長生の魂を橋の向こう側に押しやった。長生の魂はゆっくりと奈河橋の向こう側に浮かび、彼は満開の曼珠沙華の花の中に立ち、みんなに別れを告げて手を振った。
吴娘子はこの光景を見て、涙を流しながら微笑んだ。彼女は白素贞に感謝の目を向け、体が徐々に透明になり、最終的に無に消えていき、白素贞に静かに感謝した。
景松は彼女の成功を見て安堵のため息をついた。突然、彼は恐怖で叫んだ。「素贞！気をつけて！」
白素贞は振り返ろうとしたが、橋の下に続く道が徐々に消えていくのを見つけた。
景松は奈河橋に向かって駆け寄り、手を伸ばして言った。「素贞、早く、手を貸して。」彼の手が白素贞に触れた瞬間、彼も奈河橋に引き寄せられた。
白素贞は彼の手をしっかりと握り、「早く離して、あなたも引き寄せられる！」と言った。
景松は首を振り、優しく彼女を見つめ、「私はお前を離さない。」と言った。
蜈蚣の魔物が自爆した後、紫金の鉢は引き裂かれ、陣は消えた。小青は奈河橋の危険な光景を見た。
彼女はつま先立ちで叫んだ。「姉さん！」
法海は両手を合わせて言った。「阿弥陀佛、忘却の河を渡ると、奈河橋では振り返ることはできない。この生の終わりまで。」これを聞いた小青は、ためらうことなく彼らを通り過ぎた。
景松が白素贞をしっかりと抱えようとする中、小青は真の姿を現し、橋の柱に蛇の尾を巻きつけ、景松の手を掴もうと伸ばした。小青は歯を食いしばり、「姉さん、頑張って！」と言った。三人は奈河橋の引き寄せに全力で抵抗した。
白素贞は唇を噛み、涙を流しながら言った。「あなたたちは行って！私のことは心配しないで、橋が消えていく！」小青は首を振り、「私は離れない。たとえ死んでも、離さない！」と言った。景松はニヤリと笑い、「一緒に生き、一緒に死ぬ！」と言った。
法海は三人が命を懸けて助け合う姿に感動した。彼は師匠の言葉を思い出した。「殺意を持つ者は、僧侶であっても執着に取り憑かれる。優しい心を持つ者は、悪魔であっても悟りを得る。偏りすぎてはいけない、悪魔と仏をどうやって区別するのか？」
橋の柱は少しずつ割れ、三人は奈河橋の引き寄せに屈しそうになった。その時、法海の禅杖が彼の手から飛び出し、白素贞たちの方へ向かった。白素贞は驚き、景松の手を振り払おうとした。杖はちょうど小青の横で止まり、小青は蛇の尾でそれを巻きつけ、杖は輝く仏光を放った。
黄泉の道が揺れ始め、崩れ始め、輪廻の扉がちらつき始めた。景松はすぐに言った。「この道は長く持たない、急いで戻ろう！」一行は輪廻の扉の出口に向かって走り、黄泉の道が彼らの後ろで崩れ落ちた。最後の瞬間、彼らは無事に輪廻の扉を飛び越えた。
四人は息を切らし、消えゆく輪廻の扉を見つめた。彼らは長い間沈黙していた。法海は一歩前に出たが、小青はすぐに白素贞の前に立ち、「何をするつもりだ、僧侶？」と言った。
法海は仏の名を唱え、「禅杖があなたを救ったので、今日はあなたを見逃す。しかし、将来不正を行ったことが判明した場合、容赦はしない。あまり偏見を持たず、自分の信念に執着しすぎないように。」と言った。そして、彼は禅杖を拾い上げて去った。
小青は彼の去っていく姿を見て不満そうに言った。「彼の何が偉いの？ただ私たちの前で傲慢なだけじゃない！」白素贞は彼女の肩を叩き、「小青、気にしないで。私たちはまだ子供たちと警官たちを助けに急がなければならない。」とアドバイスした。
徐仙と李公甫は子供たちを金秀巷から連れ出し、泣き叫んでいた。何人かの警官が到着し、負傷者を助け、他の者は子供たちを慰めた。李公甫は韓文に言った。「今日はあなたのおかげだ。もしあなたが警官だったら、あなたは義兄よりも優れている！」
金如意はその知らせを聞いてやって来て、群衆の中で徐仙を探していた。彼女の目が突然輝き、彼女は駆け寄って徐仙の腕を掴んだ。その瞬間、白素贞と彼女の仲間が遠くからこの光景を見て、足を止めた。
白素贞の視線は金如意が徐仙の腕を掴んでいる手に向けられた。「私たちはもうここに必要ないようだ。行こう。」彼女は数歩進んだ後、突然倒れ、疲れ果てて進むことができなかった。小青は心配そうに言った。「姉さん！」
景松は白素贞の脈を調べ、「彼女の霊力はあまりにも消耗している。彼女を休ませるために連れて帰る。」と言って、白素贞を抱えて去った。小青の叫びが徐仙の注意を引き、彼は彼女を認識した。彼の顔色が変わり、すぐに駆け寄った。金如意も後を追った。
徐仙の視線は景松の腕に抱えられた白素贞に向けられ、彼女が血だらけで意識を失っているのを見て、心配そうに尋ねた。「小青、白素贞はここにいるのはなぜ？彼女に何があったの？」小青は反論した。「彼女が怪我をしているのが見えなかったの？」徐仙は白素贞の脈を確かめようとしたが、景松は巧みに彼を避けた。
景松は警戒して彼を見つめ、「私は素贞の面倒を見る。心配する必要はない。」と言った。徐仙はようやく景松に気づき、彼をじっと見返した。金如意は徐仙の心配そうな表情を見て、白素贞の顔を思い出した。「この女性はどこかで見たことがあるような気がする。どこで見たのだろう？」